吸血鬼に天国はない2/感想/周回遅れの人生録

著者:周藤 蓮 イラスト:ニリツ

★★★★☆

1巻でかりそめの日常を取り戻した、シーモアルーミー。しかし、2人の間には大きな価値観のズレと認識の違いがあった。曖昧で大切なものを手探りで探す2人。終盤で彼らのたどり着いた答えは、とても私好みのものだった。

「「ハッピーニューイヤー」」降りしきる雪とともに訪れた新年。吸血鬼ルーミーを因縁と陰謀の中から救い出し、日常へと回帰したシーモア。騒々しい運び屋仕事の中で、二人はぎこちなくも幸福な日々を送っていた。だがそんな日常も長くは続かない。マフィアに追われ、逃げ込んできた双子のバーズアイ姉妹。人を傷つけないと誓ったことによって、徐々に迫り来るルーミーの飢えの限界。緩やかに、しかし確かに平穏の終わりが近づく中で、シーモアたちの前に姿を現す最悪の敵『吸血鬼狩り』。選び取った幸福の中で、シーモアは更なる決断を求められることになる。

人と人ならざるものの恋物語、第二弾。

以下、ネタバレを含む感想です。

 

冒頭から始まる、穏やかで幸せな朝。もう少し糖分を補給したかったのだが、物語は進む。マフィアに追われているバーズアイ姉妹。居もしない吸血鬼を求めて、研鑽を続けてきた「吸血鬼狩り」の一族のヨハン・ヨアヒム・ウルブリヒト

人間を好きになったのに、人間を食べなければ生きていけないルーミー。1巻で彼女が優しい怪物だと分かった時点で、嫌な予感がしていたのだが、悪い予感は当たっていた。吸血鬼にとっての食事は魂を食べるということ、よくある吸血鬼もののような妥協点は存在しない。

シーモアに人間を食べようと言われたときに「――思いあがらないでください」と答えたルーミー。彼女との認識のズレ、残酷な現実を突きつけられて、彼女はどんな結末を迎えるのだろうと、すごく楽しみになった。

そして迎えてしまったタイムリミット。そうありたいと思った姿を失い、自身の怪物性に絶望したルーミー。その彼女にシーモアがかけた呪いの言葉が最高だった。

ルーミーの抱える矛盾、正しさなんて無い世界。曖昧なものを曖昧なまま、生きていくために妥協させる、エゴに満ちた選択。最高だった。欲を言えばシーモアがルーミーに依存していくような展開もそろそろ見たい。壊れた世界での共依存って良いよね。

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