Unnamed Memory IV 白紙よりもう一度/感想/周回遅れの人生録

著者:古宮 九時 イラスト:chibi

★★★★☆

ついに向き合う日が来てしまった。

しんどい、ひたすらにしんどい。恥ずかしながら Web版のAct.2以降は未読だ。序盤で心が折れてそのまま放置していた。だって、苦痛に悲鳴をもらすティナ―シャを見ていられなかった。感情に振り回される彼女を見たくなかった。彼女は自らの力や立場を全く理解していなっかった。

オスカーも悪い意味で賢すぎじゃないだろうか。と思ったけど、これが素の彼なんだろうね。そもそも彼が彼女に入れ込んだのは400年生きてきた彼女の孤独に惹かれたからだ。2人の相性は良いのだけれど、彼は互いの立場を重んじて動いている。それが読んでいて、とてももどかしい。

何もかもがすれ違っている。噛み合っていない。「結婚しますか」「しない」のくだりが逆になっているけど全く笑えない。

「私と結婚してくれるんですか!」「しない。どうしてそうなった」

 呪いの打破を願って魔法大国トゥルダールを訪れたオスカーは、城で眠っていた一人の女を連れ帰る。解呪を申し出た彼女ティナーシャは、次期女王として圧倒的な力を持ちながら、なぜか初対面のはずの彼に強い好意を抱いているようで……。新たになった大陸の歴史、名もなき記憶の上に、再び二人が紡ぐ一年間の物語が始まる。

以下、ネタバレを含む感想です。

 

3巻終盤に現実逃避をしていたので、3巻終盤のあらすじを振り返ろうと思う。

謎の魔法具の力で、オスカーは418年前に飛ばされてしまった。元の時代に戻るために、彼は魔女になる前のティナ―シャに会いに行く。彼女の力を借り、魔法具を探してもらっている一方で、オスカーは近いうちにティナ―シャに訪れる悲劇に介入するべきか悩んでいた。彼女を守りたい。だが、彼女が魔女にならなければ400年後に自分と会うことは無くなる。

ティナ―シャは謎の魔法具を発見し、元の時代に戻る準備が整う。答えを出せない中、オスカーは魔法具に触れ、自分がこの時代に飛ばされた理由を知る。「彼女が一番苦しんでいた時に、その手を取りたかった」その願いを叶えるために彼は時間を超えてきたのだった。

そして、オスカーティナ―シャを守り抜くことが出来た。しかし、2人には残酷な現実が待っていた。「たとえ過去をやり直したとしても、世界はそこから分岐しない」役割を終えた彼は世界の修正によって消えてしまう。涙を流すティナ―シャに、オスカーは頭を撫で、笑って見せる。彼女への愛を語り、彼女の幸福を祈り、消えてしまった...

 

辛い、本当に辛い。そろそろ4巻の感想を書こうと思う。

ファルサスの次期王位継承者の青年オスカー。彼は15年前に『沈黙の魔女』に子孫を残せない呪いを受けて、その呪いを解くための手掛かりを求めて、900年の歴史を持つ魔法大国トゥルダールを訪ねる。

国王に案内されて向かった先に居たのは、世界の修正に巻き込まれなかったドラゴンのナーク、12体の精霊の1人ミラ、そして400年眠り続けていた魔女ではないティナ―シャ

一度、白紙に還った世界で、オスカーとティナ―シャの物語が始まる。

400年の時間を超え、オスカーに会えるのを待っていたティナ―シャ。しかし、彼女の思いとは別に、政治の都合でトゥルダールの次期女王に祭り上げられることに。即位まであと半年、その間に彼女はファルサスに身を寄せ、呪いの解析にあたることになる。

次期国王と次期女王。この2人が何のトラブルに巻き込まれない訳はなく。色々な事件に巻き込まれながら、惹かれあったり、すれ違ったり、反発しあったり。とにかくティナ―シャが危なっかしい。自身の立場を理解しておらず、危険に突っ込む彼女は読んでいて怖い。

だが、6章あたりからは安心して読めるようになる。傷だらけになりながら、拙い手で互いの信頼を築いていく。互いの背中を預けられるようになっていく。最初はオスカーティナ―シャの日常を見ていると痛みを覚えていたのだけれど、いつの間にか懐かしさや寂しさに変わっていった。読むのが楽しくなってきた。

 

まとめます。すごくしんどいけど、そのしんどさを埋めてくれる4巻だった。次の巻も楽しみだ。頬ではなくこみかみを絞めるオスカーを見られたら泣くかもしれない。

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